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November 20, 2018R & D

Ad-SGE-REIC製剤と抗PD-1抗体薬を併用した悪性胸膜中皮腫に対する臨床第Ⅱ相試験のIND申請がFDAにより受理されました

 当社が開発を進めておりますAd-SGE-REIC製剤と抗PD-1抗体薬であるオプジーボを併用した悪性胸膜中皮腫に対する臨床第相試験の実施について、2018928日に米国食品医薬品局(FDA)よりIND申請を受理したとの通知を受けました。

 

 本臨床第Ⅱ相試験は、ベイラー医科大(米国テキサス州)において、オプジーボ併用時のAd-SGE-REIC製剤の有効性の評価と安全性及び忍容性の検討を目的として行われます。被験者は12名を予定しており、試験期間は試験開始より約1年6ヶ月の予定です。

 

 2018年のノーベル医学生理学賞の対象である免疫チェックポイント阻害剤は、がん治療の第4の柱として注目されており、今回の臨床試験に用いる抗PD-1抗体薬もその一種ですが、その効果は一部の患者(20-30%)のみにしか見られません。そのため、現在、効果を増強するための複合免疫療法の開発が待望され、世界中で活発に薬剤の併用による臨床試験が実施されています。 

 

 Ad-SGE-REIC製剤は、これまでの基礎研究と臨床試験により、がん細胞に対する直接効果(がん細胞のみを選択的に死滅させる効果)と抗がん免疫の賦活化による間接効果(全身効果)が実証されるとともに、ヒトへの高い安全性が確認されています。さらにはマウスの悪性中皮腫モデルを使った非臨床試験において、抗PD-1抗体薬との併用で顕著な有効性が確認されたことにより、今回のIND申請受理(FDAによる臨床試験実施の承認)に至ったものと考えております。

 

(ご参考)

IND申請:INDは、Investigational New Drugの略で、IND申請は、新薬及び市販薬の新効能に関する臨床試験を実施するためのFDAへの治験届のことです。FDAへ提出後、1か月間にわたり安全性に関するレビューが行われ、試験開始の可否が決定されます。

 

ベイラー医科大:米国テキサス州ヒューストンにある私立医科大学で、US News & World ReportによるBest Medical Schoolsランキング(2019)において、研究部門で全米16位、プライマリーケア部門では全米5位にランクされています。2014年には、米国における悪性胸膜中皮腫治療の第一人者であるDr. Sugarbakerが着任し、中皮腫治療センターを立ち上げるなど、悪性胸膜中皮腫治療に関しては、全米トップクラスの実績を誇っています。

https://www.bcm.edu/departments/surgery/divisions/thoracic

 

PD-1抗体薬:抗PD-1抗体薬は、活性化したT細胞上のPD-1に結合して、PD-1PD-L1/PD-L2の結合を阻害することにより、抑制シグナルの伝達をブロックしてT細胞の活性化を維持し、抗腫瘍効果を回復させます。本試験においては、京都大学の本庶佑特別教授と小野薬品との共同研究により開発されたオプジーボ(ニボルマブ)を使用する予定です。

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