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2014年07月01日研究開発情報

杏林製薬が「産学共同実用化開発事業(NexTEP)」に採択されました

桃太郎源社のAd-SGE-REIC製剤 -JST産学共同実用化開発事業(NexTEP)に「悪性胸膜中皮腫を対象とする遺伝子治療用医薬品」として採択され杏林製薬が開発着手へ -

この度、桃太郎源株式会社が岡山大学と共同開発中の“Ad-REIC製剤”の効果を高めた第2世代Ad-SGE-REIC製剤が、「課題名:悪性胸膜中皮腫 註1)を対象とする遺伝子治療用医薬品;新技術の代表研究者:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授 公文 裕巳;開発実施企業:杏林製薬株式会社」として、独立行政法人科学技術振興機構 (JST)における産学共同実用化開発事業(NexTEP)註2)に採択されました。今後、杏林製薬が臨床開発を進め、岡山大学と弊社がその開発に協力して参ります。

“Ad-REIC製剤”は岡山大学で発見されたがん抑制遺伝子REIC(Reduced Expression in Immortalized Cells)をアデノウィルスに搭載したがん治療用遺伝子製剤で、『がん細胞選択的アポトーシス』のみならず『抗がん免疫の活性化』を同時に惹起し、局所がん原発病巣はもとより遠隔がん転移病巣に対しても顕著な抗腫瘍効果を示すことが実験的に証明されていることからがんワクチン機能を有する遺伝子医薬として難治固形がんの治療への適用が期待されているものです。この第1世代製剤であるAd-REIC製剤については、すでに岡山大学病院で前立腺がんを対象に臨床試験を実施中であり、これまでに用量依存的な臨床有用性が認められています。

弊社では、「がんワクチン機能を有する遺伝子医薬」として、JSTによる研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)註3)実用化挑戦タイプで開発した第2世代Ad-SGE-REIC製剤のアンメットニーズの極めて高い悪性胸膜中皮腫での実用化を優先して支援いたしますとともに、岡山大学との連携により、難治固形がん全般に対する応用開発を加速して参ります。


※参考ウェブサイト
JST プレスリリース 杏林製薬ニュースリリース 岡山大学プレスリリース


【参考】
註1)悪性胸膜中皮腫:全世界で患者数の増加が予測され、かつ有効な薬剤の存在しない難治性疾患で、アスベストの曝露を原因として発症するとされている。日本においても、中皮腫による死亡者数は、1995年には500人、2004年に953人、2012年には1400人となっており、2030~2035年のピークに向けて今後も患者数の増加が予想されている。

註2)産学共同実用化開発事業(NexTEP):独立行政法人科学技術振興機構(JST)が、大学等の研究成果に基づくシーズを用いて、企業等が行う開発リスクを伴う規模の大きい開発を支援し、実用化を目指す制度。

註3)研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) : JSTによって行われている、大学や公的研究機関等で生まれた国民経済上重要な研究成果を実用化につなげるための技術移転支援プログラムで、フィージビリティスタディステージ(ステージⅠ)、起業挑戦ステージ、産学共同促進ステージ(ステージⅡ)、実用化挑戦ステージ(ステージⅢ)から構成され、大学等や公的研究機関の研究成果の実用化に向けた幅広い研究開発フェーズで研究開発を支援する制度。