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July 25, 2019R & D

ベイラー医科大によるプレスリリース(悪性胸膜中皮腫に対する臨床第Ⅱ相試験の実施)のお知らせ

 当社が開発を進めておりますAd-SGE-REIC製剤と抗PD-1抗体薬であるオプジーボを併用した悪性胸膜中皮腫に対する臨床第相試験(以下、臨床試験)の実施につきまして、ベイラー医科大(米国テキサス州)のHPへプレスリリースが掲載されましたのでお知らせいたします。

 

以下に、プレスリリースの概要を記載いたします。

 悪性胸膜中皮腫を対象とした、Ad-SGE-REIC製剤と抗PD-1抗体薬の併用療法による臨床試験を開始します。本臨床試験は、12名の患者に対し、腫瘍の縮小効果の確認とそのメカニズムの解明を目的として実施されます。なお、本臨床試験は、桃太郎源をスポンサーとして実施されます。

 

 米国では、毎年アスベスト繊維の吸入が原因で、約3,000人が悪性胸膜中皮腫に罹患しています。

悪性胸膜中皮腫は非常に悪性度の高い癌で、大多数の患者は、診断から1年半以内に死亡しています。悪性胸膜中皮腫は通常、化学療法、放射線療法、および外科手術の組み合わせで治療されますが、この研究の主任研究者であるベイラー医科大のブライアン・バート医師は、「現在の標準療法は限界に来ている」と語っています。

 

 バート医師は、これまでマウスモデルにおいて、今回の臨床試験に用いられるAd-SGE-REIC製剤と抗PD-1抗体薬の併用法が有効かどうかの実験を行い、目覚ましい効果を確認してきました。「この治療法は、効果が非常に表れにくいマウスモデルの悪性胸膜中皮腫を非常に早く、かつ安定的に根絶(治癒)した。」とバート医師は述べており、バート博士ら研究チームは、今回のヒトを対象とした臨床試験においても、マウスモデル実験同様の結果が得られることを期待しています。

 

プレスリリース(原文)は、下記のURLよりご覧いただけます。

URLhttps://www.bcm.edu/news/cancer/clinical-trial-immunotherapy-mesothelioma

 

 Ad-SGE-REIC製剤は、これまでの基礎研究と臨床試験により、がん細胞に対する直接効果(がん細胞のみを選択的に死滅させる効果)と抗がん免疫の賦活化による間接効果(全身効果)が実証されるとともに、ヒトへの高い安全性が確認されています。さらにはマウスの悪性中皮腫モデルを使った非臨床試験において、抗PD-1抗体薬との併用で顕著な有効性が確認されたことにより、臨床試験の開始に至ったものです。

 

(ご参考)

ベイラー医科大:米国テキサス州ヒューストンにある私立医科大学で、US News & World ReportによるBest Medical Schoolsランキング(2019)において、研究部門で全米16位、プライマリーケア部門では全米5位にランクされています。2014年には、米国における悪性胸膜中皮腫治療の第一人者であるDr. Sugarbaker2018829日没)が着任し、中皮腫治療センターを立ち上げるなど、悪性胸膜中皮腫治療に関しては、全米トップクラスの実績を誇っています。

 

PD-1抗体薬:抗PD-1抗体薬は、活性化したT細胞上のPD-1に結合して、PD-1PD-L1/PD-L2の結合を阻害することにより、抑制シグナルの伝達をブロックしてT細胞の活性化を維持し、抗腫瘍効果を回復させます。本試験においては、京都大学の本庶佑特別教授と小野薬品との共同研究により開発されたオプジーボ(ニボルマブ)を使用する予定です。

プレスリリース(PDF:878KB)